海水魚飼育は、こちらで紹介したようにズボラ度合いや貧乏度合いによって、大きく異なります。しかし、どのタイプの飼育方法を選択したとしてもそれなりの投資は必要となります。90cmオーバーフロー水槽でエコシステムを採用した私の水槽は、どの程度の初期投資となったのか、ご紹介します。
オーバーフロー水槽にかかるコスト
オーバーフロー水槽を設置する場合、自作を含めて複数の選択肢があります。手っ取り早いのは、オーバーフロー水槽セットを購入することです。水槽セットの場合でも、値段はピンキリですが、10万円弱から数十万円程度は覚悟しなければなりません。私は、アクロの90cmオーバーフローセットを選択しました。安ければ安いほど良いのですが、ガラスの透明度や水槽台の強度は、長く海水魚飼育を続けるのであれば、重要視した方が良いですよ。
ちなみに、アクロブランドの水槽は、チャーム製水槽のオリジナルブランドのようですね。比較したことはありませんが、ガラスの透明度は高そうだし、値段もそんなでもないので、水槽を購入する場合は、選択肢に入るのではないでしょうか。
水槽を購入する上で忘れてはならないのがガラス蓋。本水槽だけではなく、ろ過槽にもガラス蓋は設置した方が良いと思いますよ。水はものすごい勢いで蒸発し、水槽台の中だって湿気でえらいことになると思います。私はオーダーメイドで作ってもらいました。まあ、ろ過槽にプロテインスキマーを設置する場合は、ろ過槽にガラス蓋を置くことはできないでしょうね。
購入したもの | 金額(税込) |
アクロ90cmオーバーフロー水槽セット | 約140,000円 |
ガラスフタ オールガラス水槽アクロ90用(2枚) | 約3,300円 |
ガラス蓋加工費 | 約8,000円 |
合計 | 約151,000円 |
水温調整に必要なコスト
淡水魚もそうだとは思いますが、海水魚は温度変化にシビアなんですよね。なので、温度が低くなり過ぎることも、高くなり過ぎることに対しても対策しなければなりません。でも、温度が低くなるのを防止するサーモスタットなら手が出るものの、温度が高くなるのを防止するクーラーは、ちょっとビビるほど高級品です。
ただ、クーラーがないと、冷却ファンで冷やすなり、部屋自体を冷却するなり、何らかの対策が必要です。冷却ファンの場合は、激しく水を蒸発させるし、冷却能力も限界があるため、お金がある人は覚悟を決めて水槽用クーラーを買いましょうね。なお、オーバーフロー水槽にクーラーを取り付ける場合は、ポンプが必須となりますので、合わせて購入しておきましょう。
購入したもの | 金額(税込) |
ゼンスイ 水槽用クーラー ZC-500α | 約125,000円 |
コトブキ工芸 セーフティヒートセットSP 300W 90cm水槽 | 約5,000円 |
カミハタ Rio+(リオプラス) 3100 | 約10,000円 |
合計 | 約140,000円 |
ろ過に必要なコスト
海水魚を飼育する場合、水槽内の飼育水をきれいにするろ過機能が欠かせません。ろ過機能を設置しないで、水換えで何とかしようとする方もいるかもしれませんが、水替えによる水質の変化が魚に与える影響は小さくないし、だいためんどくさい。ろ過には物理ろ過や生物ろ過といった種類があり、それはそれとして一定の知識が必要なのですが、自分のスタイルに合ったろ過装置が必要になるわけです。
私の場合は、マッドシステムとかエコシステムとかいわれるリフジウム水槽を使った飼育方法にすることにしました。そして迷ったのですが、プロテインスキマーは設置しないことにしました。このため、オーバーフロー水槽の上部に置く、リフジウム水槽やリフジウム水槽に取り付ける照明、などなどが必要になります。
当然、オーバーフロー水槽なので、ろ過の主役はろ過槽内のろ材が担うことになります。ろ材もいろいろあって何が何やらよく分からなかったので、評判が良さそうなものをいろいろ混ぜることにしました。ろ材やらリフジウム水槽やらでろ過に必要なコストもそこそこかかっちゃいますね。ここにプロテインスキマーやら殺菌灯やら設置すると、コストはえらいことになるのですが、私はそのような微生物に影響を与えるようなものはできる限り設置しない方針です。
購入したもの | 金額(税込) |
JUN V3ポンプ付きスレンダー 900 90cm水槽用 | 約24,000円 |
かさねらレールやガラス蓋 | 約3,500円 |
GEX クリアLEDパワー3 900 90cm水槽用照明 ライト | 約7,600円 |
シポラックス、メック、サブストラット、サンゴ砂など ろ材一式 | 約15,000円 |
ミラクルマッド 1.35kg(3lbs)パウチ袋入り | 約5,000円 |
合計 | 約55,000円 |
状態よく飼育するために必要なコスト
ここまでのコストで、すでに30万円を超えました。それでもまだまだ足りませんよ。水槽に温度管理、そしてろ過装置があればもしかしたら海水魚を飼育することはできるかもしれませんが、照明がなければ鑑賞性が損なわれるし、光合成に頼るサンゴやイソギンチャクは生きていくことすらできないでしょう。
水流も必要です。オーバーフロー水槽であれば、循環させる飼育水が生み出す流れで十分とする考え方もあるかもしれませんが、サンゴやイソギンチャクにとっては不十分かと思います。しかも、太くて不規則なうねりのある水流が欲しいところ。
あとは、底砂ですかね。底砂があれば生物ろ過を補うことができるし、鑑賞性も向上します。底砂は舞ってしまったり飼育水を汚したりするので好き嫌いがあるのですが、私は小さなワラワラの棲み家やろ過の補強を期待して、5cm程度敷くことにしました。
そして、ライブロック。さまざまな生物の拠り所となるライブロックは、海水魚水槽にとって主役並みの存在感があります。たかが岩と侮っていると引くほど高価な代物なので、びっくりする方もいるはずです。ライブロックはろ過能力も高いため、海水魚水槽では必須と言っても良いでしょう。
肝心の海水魚飼育する用の塩も必要ですね。比重計がない方は必ず購入してください。
購入したもの | 金額(税込) |
マーフィード NEMO LIGHT 2 アクアマリン 96W | 約37,000円 |
ボルクスジャパン VestaWave VW08HG | 約15,000円 |
底砂(ライブサンド、サンゴ砂のミックス) | 約15,000円 |
ジェイズアクアリュウム ライブロック | 約27,000円 |
インスタントオーシャン 600リットル用 人工海水 | 約7,000円 |
テトラ ハイドロメーター 比重計 塩分濃度 | 約3,500円 |
合計 | 約104,500円 |
あったら便利なそのほかに必要なもの
もうすでに50万円の大台も見えるほどのコストがかかっているわけですが、海水魚飼育はそんなに甘いものじゃないですよ。はっきり言って、まだまだ必要です。
優先順位が高いのが、海水水槽の立ち上げを早めるバクテリア類です。バクテリア付きのろ材やライブサンドを使用すれば立ち上げは早まりますが、ろ過能力を高めるためにも、あった方が良いでしょう。そのほかにも、微量元素やカルキ抜きができるような添加剤も便利かと思います。
そして、試薬類ですかね。アンモニアや硝酸塩の濃度は、立ち上げじも生体投入後も何かと必要になると思います。あとは、水槽についた苔を掃除するクリーナーあたりはもはや必須とっても良いでしょう。
購入したもの | 金額 |
シマテック PSB 水質浄化栄養細菌 1000mL | 約3,000円 |
アクアテック ミネリッチアクアーレ 2L | 約3,000円 |
ZICRA(カルキ抜きとして) | 約3,000円 |
テトラテスト 5in1 マリン試験紙 | 約1,800円 |
レッドシー MCP 硝酸塩/亜硝酸塩テスト | 約4,500円 |
FLIPPER 浮くマグネットクリーナー Floating Standard 対応ガラス厚 12mm | 約8,200円 |
合計 | 約23,500円 |
海水魚飼育をするならお金的な覚悟が必要
いかがでしょうか。まだお魚を入れる前から、青天井のお金がかかることがお分かりいただけたと思います。よく10万円から始める海水魚、というような記事を見ることがありますが、そんな記事を見て気軽に始めると痛い目に遭いますよ。90cmのオーバーフロー水槽を始めるのであれば、初期費用だけで50万円は覚悟しなければなりません。
しかも、私の飼育方法では、プロテインスキマーも殺菌等もRO浄水器もカルシウムリアクターも設置していませんので、デラックス水槽を目指す方は、生体を入れる前の初期投資で100万円越えも見えてくるはずです。
海水魚は、生体もまた高いんですよね。お魚一匹で数万円はザラにあるし、円安の影響もあるのでしょうが、大体サンゴもイソギンチャクも偉く高い。さらに、電気代だってバカになりません。
よくブログなどで見かける海水水槽を複数持っている人いますよね。しかも、装備もすごい人。ああいう方は、相当程度のお金持ちで普通じゃないはずです。自分の身の丈にあった飼育方法を選択するべきなのですが、海水魚飼育はお金持ちの娯楽だということを忘れないようにしてください。
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