海水魚飼育にとってプロテインスキマーは必要でしょうか。多くのアクアリストは、必須と答えることでしょう。ましてや、無換水に近いズボラ水槽を目指すとなれば、プロテインスキマーはたしかに欠かせないかもしれません。この記事では、、プロテインスキマーとはどんなもので、私自身が設置をするかどうかの判断基準などを紹介します。
プロテインスキマーとはなにか
プロテインスキマーは海水魚飼育のための重要な装置で、水槽内の余分なタンパク質やその他の有機物を取り除く役割を果たします。海水に含まれるタンパク質や微細なごみは水面に泡として浮かびやすく、この性質を利用してスキマーはこれらの不純物を集めます。
具体的には、空気を強力に水中に混ぜ合わせることで、大量の泡を発生させます。水槽の水に溶け込んでいるタンパク質などの汚れは、泡にくっつきやすいので、スキマーによって作り出された泡に絡みつき、次第に水面に溜まります。そして、この泡は容器の中で集められ、水槽から取り出されるので、水質が清潔に保たれるというわけです。
このプロセスは、自然の海で起きている浄化作用を模倣したもので、水槽内で生きている魚やサンゴにとって非常にクリーンな環境を作り出すことができます。飼育される生物にとってストレスが少なく、健康を維持するのに役立ちます。
プロテインスキマーのデメリット①お金がかかる
設置した方がよいのは理屈ではわかるのですが、そうやすやすと導入を決められるものじゃありません。プロテインスキマーの種類にもよるのですが、結構お金がかかります。
エアーリフト式と呼ばれる、ウッドストーンで泡を発生する方式の場合は価格は安いのですが、ほとんどゴミを取ってくれません。私も以前、海水魚を飼育していた時に、自作のスキマーやマメスキマーを稼働させたことがありますが、気休め程度ですね。
ろ過能力の高いベンチュリ―式の場合は、アワが細かく大量に発生するので効果が高いのは分かりますが、場合によっちゃ10万円以上したりするわけです。金持ちは迷わず導入でもよいのでしょうが、たとえ金持ちでも躊躇するぐらい高いのが実情です。ただ、近年では通常であれば10万円以上するプロテインスキマーと同程度の機能のスキマーを、数万円で購入できる安価な中国製が登場しています。抵抗ない人は中華プロテインスキマーも選択肢に入ってくるかもしれません。
プロテインスキマーのデメリット②大事なものも除去してしまう
プロテインスキマーを設置すれば、アンモニアや硝酸塩に分解される前のエサや糞の状態で除去されるため、硝酸塩を発生させにくいという特徴があります。しかし、海水に含まれるカルシウムなどのミネラルといった微量元素を除去してしまうため、これを補うために水替えや微量元素の添加が必要になってしまうのです。
あと、これはあまりデメリットとして認識している人は少ないかもしれませんが、ヨコエビやバクテリアといった微生物を除去してしまい、水槽内の生態系に影響を与える可能性が高いと思われます。自然派の水槽を好む方は、プロテインスキマーのデメリットは小さくないと言えるでしょう。
プロテインスキマーをどうするか?
とうわけで、私は新しく海水水槽を立ち上げるにあたり、プロテインスキマーを設置するかどうかはかなり悩んだわけです。最初は当然導入するものとして、エクセルで管理している初期導入品リストに鎮座していたわけですが、悩みに悩んだ結果、少なくとも最初は導入しないことにしました。
その理由はお金ではなく、ヨコエビなどの微生物を除去してしまうことです。私は多少見栄えが悪くても、小さなワラワラが大量発生している水槽にしたい。大量のミドリイシなどのサンゴが織りなすメルヘンな水槽を目指しているわけではないのです。魚だって大量に投入する予定はありません。だいたい、プロテインスキマーを設置して微量元素を除去しておきながら、自分でまた添加するって理不尽ですよね。
ですが、プロテインスキマーを導入しないとなると、オーバーフロー水槽により大量に発生する硝酸塩をどうするかという問題は残ります。硝酸塩を除去しつつ、大量のワラワラが発生するナチュラル水槽をどう実現するか。それは次回紹介することにしましょう。
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