飼育方法の考察④ライブロックをどうするか

海水魚

海水魚を飼育するうえでは、人工的なろ過方法に加えて、サンゴの死骸が風化した岩状のライブロックが欠かせません。こういうものを水槽内に置くだけで、雰囲気がでますので、インテリアとして重要です。今回は、ライブロックをどうするかについて紹介したいと思います。

ライブロックは絶対に必要

まず、海水魚飼育をするのであれば、ライブロックは必須であると考えてよいでしょう。その理由は以下の通り。

  • ライブロックに住み着くバクテリアなどの微生物が人工的なろ過を補ってくれる
  • サンゴやイソギンチャクを活着させる場所となる
  • 海水魚が落ち着くことができる隠れ場所となる
  • 見栄えがよい

というわけで、ライブロックを置かない理由がないわけです。

ライブロックを置く場合の注意点①そのうち崩れる

ライブロックって購入するといろいろな形があって、雰囲気のある置き方にこだわりたくなるんですよね。アーチ状で複雑な形状にしたくなるものですが、そのまま置くだけではいつかは崩れます。

しばらくの間はしっかりと固定されていたとしても、オトメハゼのようなベンスト系のハゼやナマコを購入すれば、底砂を掘り返すのでその上に乗るライブロックは絶対に崩れますし、ちょっと大きなヤドカリなんかはブルドーザーのようにライブロックのレイアウトを破壊します。

大きな地震がくれば絶対に崩れるわけで、ライブロックのレイアウトは、こちらの記事で紹介したように、短期的には安定していますが、長期的には不安定なのです。したがって、海水魚飼育を始めてライブロックを水槽内に設置するときには、セメントで固めることをお勧めします。

ライブロックを置く場合の注意点②底上げをした方がよい

ライブロックを底砂の上に置くと、ライブロックを置いた底砂に十分な酸素がいきわたらず、硫化水素が発生し、底砂にたまってしまうそうです。こうして蓄積された硫化水素が何かの拍子に水槽に充満し、取り返しのつかない状況になる恐れがあると。硫化水素をめぐる憶測は都市伝説かと思ってましたが、私はある程度信ぴょう性が高いと考えています。

となると、底砂の上にライブロックを置くことは、その砂の下部に嫌気層を作りやすいことから避けたほうがよいことになります。だいたい、底砂の上にライブロックを置くと、だんだんと砂の中にライブロックが埋まっていくので、ベンスト系のハゼがいなくても、長期的にはライブロックのレイアウトは崩れます。

というわけで、ライブロックを底上げして設置するという話になるのですが、これはこれで簡単じゃありません。アクリル製のライブロックスタンドなるものがあるのですが、安くないうえに見た目も悪い。三脚型の人工ライブロックをライブロックスタンドとして使う方法もあったのですが、どうやら使い勝手の良い人工ライブロックは販売が終了している模様なんですよね。

ライブロックを水槽底面において砂を敷く方法が無難ではあるのですが、高価なライブロックを砂に埋めてしまうのは、それはそれでもったいない。私自身も、ライブロックスタンドをどうするかは考えに考え、セメントを使って自作したライブロックをスタンドとして使うことを検討したりしたわけです。

ですが、そこはズボラな私。ライブロックの自作はメンドクサイ。そこで、検討しているのが、飾りサンゴを使う方法です。チャームの飾りサンゴをなんかを購入し、ライブロックの足にセメントでくっつける感じ。まだ頭の中の構想なのですが、水槽を立ち上げるときにはレポートします。

ライブロックを置く場合の注意点③キュアリングをどうする?

余分な生物を排除するためにライブロックをキュアリングすることはもはや常識かもしれませんね。はっきり言っておきますが、私はキュアリングをするつもりはありません。私が以前、飼育していた時の採用方法でも、キュアリングをしませんでした。

私がキュアリングをしない理由は、たとえ有害であれそこに住む生体をわざわざ排除してしまうからです。せっかくそこには海で培った貴重な生態系が出来上がっているのに、それを取り除くなんてもったいない。その生態系を壊してしまうのであれば、カニやシャコが潜むリスクぐらいは我慢しますよ。だいたい、こうした生物が魚を襲うほど大きく成長することは稀な気がします。シャコのパンチで水槽が割れるというは、都市伝説でしょ。

もしキュアリングを検討するとすれば、ライブロックがあり得ないぐらいの匂いを放っているときでしょうが、そんなときはまず返品を検討すればよい。せっかく貴重な生物が詰まった天然のライブロックを購入するのであれば、責任をもって飼育する覚悟があってもよいと思います。

ライブロックを置く場合の注意点④購入方法

私が以前飼育していた20年前は、ライブロックの購入方法はそんなにたくさんの選択肢はなかったような気がします。現在では、生きていないデッドロック(あるいはデスロック)を利用したり、自作したり、人工ライブロックを使ったりと、さまざまな選択肢があるようですね。

その背景にあるのが、貴重な海洋資源であるライブロックの輸出や採取が禁止されていることがあるようです。こうした背景を考慮に入れ、私は、できる限り出所が明らかなライブロックを購入する予定です。デッドロックや人工ライブロックでもよいのですが、ライブロックがもつ生物多様性の魅力は捨てがたい。だいたい、良質なライブロックは、そのほかになんの生体を入れていなくても、見ているだけで楽しいものです。キュアリングしなければ、変な生物がたくさん顔を出してくれますよ。

いずれにしても、ライブロックに限らず、オークションサイトで海水魚やサンゴを販売しているような場合など、出所が不確かなものは買わない方が良いかもしれませんね。

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