貧乏でズボラな飼育スタイルでも10年続く飼育方法とは

海水魚

お金がないくせに手間もかけないわがままな飼育スタイルは、ベテランアクアリストにとって許されるものではありません。しかし、面倒くさいものは面倒くさいし、そもそも年月が経てば、どんなに几帳面な人だって手抜きがしたくなるもの。

何を隠そう、私は今から20年近く前、初めての海水魚飼育を始めたときは、貧乏かつズボラな飼育方法を採用しました。だって、お金はないし、ズボラな性格はどうしようもないんだもん。

しかし、こんな飼育方法でも、ハタゴイソギンチャクとカクレクマノミの共生を10年以上にわたり実現しました。ここでは、当時採用した具体的な飼育方法と、デメリットについて紹介します。

10年続く貧乏でズボラな飼育方法

さて、それでは具体的に私が採用した飼育スタイルは、具体的にどのようなものだったのでしょう。かれこれ今から5年以上前のことなので、あまり良く覚えていないのですが、概ね以下のような感じです。本当にこれ以外の装置はないので、プロテインスキマーもクーラーもないわけです。

器具特徴
60cm水槽フレームレスの曲げ水槽
外付けフィルター普通の外付けフィルター。飼育した当初は、フィルターすら設置していなかった。
電灯安い60cm用の普通なLED
水流ポンプ90cm水槽用のポンプと30cm水槽用のポンプでランダム水流を作る
添加物ZICRA
その他サーモスタットとか温度計とか

こんな飼育方法で、なぜ10年もハタゴイソギンチャクやカクレクマノミを飼育できたのでしょうか。振り返ってみると、以下の点が挙げられます。

貧弱水槽で海水魚を飼育するための工夫①太陽光を活用する

海水魚だけならまだしも、ハタゴをはじめとしたイソギンチャクやサンゴを飼育するためには強い光が必要です。ハタゴイソギンチャクを飼育するためには、メタハラ一択とかいう人もいるようですが、そんな高価な代物を買うことができない人もいるはずです。

そこで私が採用したのが太陽光を取り入れること。窓際に水槽を設置すると、工夫次第で冷え込む朝方だけ太陽光があてることもできます。普通に窓際に水槽を置けば、真上から光が降り注ぐ夏場はひさしや天井が太陽光を避けてくれるし、斜めから光がさす冬場だで太陽光をあてることだってできる。

どんなに高価なメタハラだろうがLEDだろうが、自然光にはかなわないわけで、貧乏人の検討に値するわけです。

貧弱水槽で海水魚を飼育するための工夫②生物ろ過を活用する

オーバーフロー水槽にプロテインスキマーが最強だというのは分かりますが、莫大な投資が必要です。そこで選択肢となるのが、生物ろ過です。自然がもつ生態系を利用して水がきれいになるなんて、最高じゃないですか。

基本的には、底砂を厚めに敷きライブロックが持つ浄化作用に頼ることになります。しかし、飼育する魚の量にもよりますが、毒性の高いアンモニアは分解できたとしても、硝酸塩やリン酸塩はどうしたって処理が追い付かない。

できる限り底砂のもつ浄化能力を最大化するために、ベンスト系のハゼやマガキガイ、ナマコを投入したり、場合によっちゃ水槽に大量に発生するコケのチカラを借りたりすることになります。

貧弱水槽で海水魚を飼育するための工夫③水流で海水を循環させる

10年以上にわたり貧弱水槽でハタゴイソギンチャクやらカクレクマノミやらを飼育して私がたどり着いた答えは、海水魚飼育は水流だってことです。なんとなく、海水全体に水流がいきわたっていれば、ライブロックやライブサンドのもつ浄化能力を最大化できるような気がするし、ハタゴも元気になる。

しかし、当時、ランダム水流を作ることはとても難しく、ポンプを2つ水槽内に投入し、水流同士をぶつけて、それっぽくしていたことを思い出します。

貧弱水槽のデメリット①見栄えが悪い

貧弱水槽でも創意工夫によりハタゴイソギンチャクだって10年以上飼育することは可能なのですが、はっきりいってまったくお勧めできません。デメリットが大きすぎるからです。

デメリットの1番目は、見た目が悪いということ。アクアリストのブログやインスタに上がっているような、青い光に照らされた幻想的な雰囲気は全くなく、コケに覆われた汚い水槽にしかなりません。どんなにコケ掃除しようが、太陽光を充てるとコケはものすごい勢いで生えてきますし、だいたいコケに硝酸塩やらリン酸塩やらを吸収してもらわないと濾過が追い付きません。

水替えをさぼっていると、海水の黄ばみがひどく、ちょっとしたウーロン茶ぐらいの色になってしまいます。貧乏でズボラなあなたが、どうしても海水魚飼育をしたいのであれば、美しい見た目はあきらめなければならないのです。

貧弱水槽のデメリット②なんだかんだで手間がかかる

貧弱かつズボラ水槽を10年以上続けた私ですが、今思うとなんだかんだで手間がかかったなぁとつくづく思うわけです。その理由は、水槽内を舞うデトリタスです。このデトリタスが、水流ポンプや外付けフィルターに絡まり、海水の循環が著しく悪化させるわけです。

このため、水流ポンプが詰まってきたな、が水替えのサインとなるわけですが、水を変えるだけではなく、水流ポンプや外付けフィルターのポンプを分解して洗浄したり、ライブロックにこびりついたコケをむしり取るなり、単なる水替えでは済まないわけです。

年に数回、休日の午前中を水替え祭りに費やすことになり、これがいやで水替えを先延ばしにする悪循環。結局手間がかかる貧乏かつズボラ水槽は、とてもお勧めすることはできません。

クーラーがないうえに、太陽光で飼育するとなると、冷却ファンははずせません。となると、大量の水の蒸発を補うための足し水の負担も大きいです。

貧弱水槽のデメリット③サンゴを飼育することは極めて難しい

ハタゴイソギンチャクは10年以上飼育できたのですが、貧弱水槽ではサンゴの飼育は難しいと言わざるを得ません。計測していませんでしたが、硝酸塩やらリン酸塩はすごいことになっていたのではないでしょうか。

難しいと言われているハタゴをなぜ飼育できたのかは不思議なのですが、購入したときの状態がかなりよかったことは間違いないでしょう。丈夫なハタゴであれば、ちょっとやそっとじゃ☆にならないのでしょう。

サンゴを飼育できないのであれば殺風景な水槽になりやすく、そこにコケやデトリタスが舞っているようじゃ、もう直視に耐えられなくなります。それでも海好きにとっては、そこに海水魚がおよいでいるだけで癒しになるもんですが、同じ家に住む家族からも白い目で見られるようになるかもしれません。

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